
科の教育内容は、「現実社会の問題解決に役立つ基礎理論と諸手法の習得に主眼」を置いており、「問題解決指向という点では、代表的なアメリカのビジネス・スクール等の教育理念」をも導入している。同研究科のカリキュラムの特徴は、第一に「実習・演習・講義という3つの授業形態のバランスのとれた教育とそれに立脚した修士論文指導がなされていること」であり、実習については、数理計画、シュミレーション、計量経済学、多変量解析の4部門にわたって開設されている。この実習では、学生が分析手法を学ぶとともに、コンピュータなどの機器を実際に各自用いて、数量的分析を行うことが要求される。また演習は1年次2・3学期に開講され、経済、政治・社会・心理、都市地域、OR・統計、経営の科目が配当されており、学生の問題提起や討論などへの参加が充分になされるように小クラス編成によるきめ細やかな指導がなされている。講義については、基礎科目・専門科目共に非常に幅広い分野にわたっており、このことがカリキュラムの第2の特色にもなっている。特に専門科目については、政策科学関係と経営科学関係に一応大別されているが、「企業経営に公共政策への理解と関心が不可欠であるように、行政においても経営的思考が要請されて来ている」という観点から学際的な政策思考型の社会科学成果を前面的に取り入れるべく、両分野の境界は設けられていない。同研究科においても、中央官庁や地方自治体からの派遣学生の割合がきわめて多い。
前述のように1990年に総合政策学部を設置した慶応義塾大学では、完成年である1994年に、大学院政策・メディア研究科(修士課程)を発足させた。同研究科は、大学院の研究と教育に新しい理念と教育の方法を導入すべく、次のような5つの基本的な考え方のうえに立脚し、設置されている。1)新タイプのプロフェショナル・スクールによる「高度な専門的職業人」養成のためにの修士課程、2)政策・組織研究とメディア研究の融合による新分野への挑戦、3)研究プロジェクトによる研究と教育の統合、4)コラボレーション(共同研究)の重視とそれを可能とする施設、5)ネットワークとデータベース環境の利用者重視の設備。同研究科のカリキュラムは、導入科目、研究支援科目、領域科目、プロジェクト科目、特設科目の5つから構成されている。このうち、研究支援科目は、プロジェクト科目を推進するのに必要な基礎学力を養うための科目として位置付けられており、研究における発想を助け、自己の研究の視野と展望を広げる際の支援となる概念系科目、研究プロジェクトの立案・組織・運営・評価を事例研究として学ぶ研究開発系科目、そしてプロジェクト参加に必要な多様なツールの習得を目的とした技法系科目から構成されている。また領域科目は、共通領域科目、政策・組織領域科目、環境領域科目、メディア領
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